本学は平成28年度に文部科学省による「大学教育再生加速プログラム(Acceleration Program for University Education Rebuilding : AP)」テーマⅤ 卒業時における質保証の取組の強化 に採択されました。
「テーマV卒業時における質保証の取組の強化」とは?
本学が採択されたテーマVは、学生が卒業段階でどれだけの力を身に付けたのかを客観的に評価する仕組みやその成果をより目に見える形で社会に提示するための効果的な手法等を開発し、学外の多様な人材との協働のもと、先導的なモデルとなることが求められている。
本事業(テーマV)は全国から116件の申請がなされた後、本学を含めた19件の事業が選定された。平成28年度から4年間重点的な支援がなされる。本学は他大学、とりわけ他の外国語系大学にとって参考となる取り組みになることを目指す。
◆ 本学AP事業の特色
本学では、Ⅰ. 高度な言語運用能力、Ⅱ. (世界諸地域のうち)専攻する地域についての知識・理解、Ⅲ. 現代社会を生きる力、Ⅳ. (世界の言語・文化・社会を分析するための)専門的な学問分野についての知識・理解、Ⅴ. 主体的に考え、行動し、発信する力、計5つの力が一定の水準に達成した者に対して、学士(言語・地域文化)の学位を与えることを定めている。しかしながら、これまで成績証明書と学位証明書以外に、卒業時における学生の達成度を示す手段がなく、本学が養成した「多言語グローバル人材」の内容を社会に向けて十分に示せていないという課題を有してきた。そこで本事業では、既存の証明書には包括されえない言語力、専門力、行動・発信力(留学歴やインターンシップ活動の履歴など)について、卒業時の達成度を客観的な指標で示し、「多言語グローバル人材ディプロマ・サプリメント」として配布する。なお本ディプロマ・サプリメントは、入学時から卒業時までの学生の学修カルテとなる「多言語グローバル人材・ポートフォリオ」を利用して編集される。以上の取り組みから、卒業時における質保証を強化し、本学学生の卒業後の国際的な活躍をより一層促進する。
年次報告
◆ 平成30年度
本事業の推進により、①言語力、②専門力、③行動力・発信力それぞれの達成度合いに関するデータの蓄積がe-ポートフォリオ「TUFS Record」上で進みました。データ蓄積が進んだ「TUFS Record」を用いて、今年度は就職活動などでの活用を目的とした「学修活動履歴書」の配付のみならず、平成30年度卒業者(平成27年度入学者・平成29年度3年次編入者)を対象に、「ディプロマ・サプリメント」(日英両言語)の配付を開始することができました。
学生は、CEFR-J基準による専攻言語の能力評価を「TUFS Record」上で確認できるようになったことから、自身の言語力に即して履修を組むことが可能となりました。また、さらなる言語力の伸びを可視化させるため、留学中や帰国後に外部試験をより積極的に受検し、その結果を大学側に届け出るという、一連の流れを、本年度は確立させることができました。 「TUFS教育改革会議」の外部委員の方々からのご意見により、本学学生の特徴をより反映したe-ポートフォリオ「TUFS Record」の運営を意識化することができ、最終年度に向けた課題を明確にすることができました。
◆ 平成29年度
本年度は、学生が自身の学びの振り返りとして行う学修活動記録「TUFS Record(たふれこ)」と企業側(社会)に向けて示す証書としての「多言語グローバル人材ディプロマ・サプリメント」の使い分けについて検討し、学生が就職活動を行う際には、企業ニーズの高い項目を中心に記載した「学修活動履歴書」、卒業時には公的に保証できる情報を記載した「多言語グローバル人材ディプロマ・サプリメント(日英両言語)」を配付する、2段階方式を決定しました。これをうけ、平成29年度より、3年次学生(平成30年度卒業予定者)を対象に、「学修活動履歴書」の配付を開始することができました。
「TUFS教育改革会議」の外部委員の方々からの意見により、「学修活動履歴書」や「多言語グローバル人材ディプロマ・サプリンメント」の書式の改善を行うことができました。
◆ 平成28年度
平成28年9月~平成29年3月にかけて、PODS部会会議を計9回開催しました。
PODS部会での検討を通じて、本年度は、1)多言語グローバル人材ディプロマ・サプリメントの元となるポートフォリオの改修、2)言語力、専門力、行動・発信力に関する書式の大枠を固め、多言語グローバル人材ディプロマ・サプリメント発行の準備を整えました。
平成29年3月23日には第一回「TUFS 教育改革会議」を開催し、外部評価を実施しました。外部委員の方々より貴重なご指摘やご助言をいただき、今後の取り組みの方向性を確認する機会となりました。
実施体制
◆ 学部PODS 部会
本事業は、Portfolio and Diploma Supplement、略してPODS部会を中心に実施する。PODS部会の下に、以下の3つのサブ部会が設置されている。
- 言語力sub部会
- 専門力sub部会
- 行動・発信力sub部会
PODS部会構成員:
- 山口裕之(学部PODS部会長・言語文化学部長)
- 今井昭夫(理事・副学長)
- 真島一郎(国際社会学部長)
- 川村大(国際日本学部長)
- 丹羽京子(総合国際学研究院・准教授)
- 投野由紀夫(総合国際学研究院・教授)
- 吉冨朝子(総合国際学研究院・教授)
- 加藤美帆(総合国際学研究院・准教授)
- 前田和泉(総合国際学研究院・教授)
- 阿部新(国際日本学研究院・准教授)
- 萩尾生(世界言語社会教育センター・教授)
- 梅野毅(世界言語社会教育センター・助手)
- 布川あゆみ(世界言語社会教育センター・特任助教)
- 井上裕之(学務部長)
- 今坂良明(教務課長)
- 山口登之(学生課長)
◆ TUFS教育改革会議
本事業について、年に一度外部評価を受け、事業の改善につなげる。
外部評価委員(五十音順):
- 高野律雄(府中市長)
- 柄博子(国際交流基金・理事)
- 中村美智子(東京外国語大学学生後援会・理事)
- 長谷川康司(東京外語会・理事長)
- 松田 武(京都外国語大学・学長)
- 松田千恵子(首都大学東京大学院社会科学研究科・教授)